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当社では、退職後の従業員が当社の顧客情報を漏えいするという事態がありました。不正競争防止法による規制だけでは不十分なのでしょうか。

当社では、退職後の従業員が当社の顧客情報を漏えいするという事態がありました。不正競争防止法による規制だけでは不十分なのでしょうか。


 

 不正競争防止法上、「営業秘密」として保護を受けるためには、
①秘密として管理されていること(秘密管理性)、
②事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、
③公然と知られていないものであること(非公然性) の3つの要件を充足する必要があります。

  このように、不正競争防止法上の「営業秘密」は厳格な要件が定められており、会社にとっていかに重要な情報であっても、「営業秘密」として保護を受けられない可能性があります。

  例えば、実務上、「秘密管理性」が認められるためには、㋐当該情報へのアクセスが制限されていること、㋑当該情報にアクセスした者が当該情報が営業秘密であることを客観的に認識できるようにしていること が必要とされます。

 したがって、顧客情報のような会社にとって重要な情報であっても、顧客情報が掲載されたファイルが顧客情報を管理する担当社員のデスクの上に置いてあり、社員であれば誰でもファイルを閲覧できる状況である場合や、顧客情報が保存されたデータにパスワードが設定されていてもパソコン画面の脇にパスワードが張られている場合には、当該情報へのアクセスが制限されているとはいえず(㋐を充足しない)、「秘密管理性」が認められない可能性が高いといえます(=「営業秘密」にあたらない。)。

  もっとも、秘密管理を徹底するとコストがかかりますし、社員数が少数の会社の場合には業務な円滑な遂行を妨げることにもなり得るため、重要な会社の情報であっても、その全てに厳格な秘密管理を徹底することは現実的ではありません。

  そうすると、顧客情報のような重要な情報であっても、不正競争防止法による保護を受けられないという事態になり得ますから、秘密情報の外部流出に対応するためには、不正競争防止法の規制だけでは不十分といえるでしょう。

  そして、このような不正競争防止法上により保護されない秘密情報の外部流出を防止するためには、従業員との間で秘密保持契約を締結しておくことが賢明です。

  なお、顧客情報が改正個人情報保護法の「個人情報データベース等」に該当する場合(ただし、平成29年5月30日以降に限る)には、情報を漏えいした従業員(元従業員も含む。)は、刑事罰の対象となりますので、秘密保持に関する社内教育を実施し、情報漏えいが刑事罰の対象となり得ることを指導することも有用といえます。

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