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残業時間を計算する際、15分未満を切り捨てる計算方法の問題点

当社では、残業時間を計算する際、タイムカードに打刻された出退勤時間から、15分未満の部分は切り捨てて計算しています。このような計算方法に、法律上問題はあるのでしょうか。

 法律上、賃金は原則として、その全額を労働者に支払わなければならないとされています。

 そして、たとえ5分や10分であっても、実際に労働した時間ですので、毎日の残業時間の端数を切り捨てる処理は、違法です。1日単位ではわずかな時間でも、それが積み重なれば月に数時間になる場合もあり、その分の対価が全く支払われなければ労働者にとって大きな不利益になってしまうからです。

 したがって、残業時間を計算する際には、毎日1分単位で計算する必要があります。

 ただし、現在の行政通達では、「1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」は、法令違反として取り扱わないこととされています。

 したがって、毎日の残業時間は1分単位で計算した上で、1か月間の合計時間数について右のような端数処理を行うことは許されるでしょう。