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宿直で待機中の時間についても、通常通り給料や残業代を支払わなければならないのでしょうか。

当社では、深夜の電話や来客、緊急時の対応、夜間警備のため、宿直で交代勤務をさせています。待機している間は他の作業はなく、従業員が自由に過ごすことができますが、この待機中で作業をしていない時間についても、通常通り給料や残業代を支払わなければならないのでしょうか。

 宿日直勤務とは、一定の場所に拘束され、緊急電話の受理、外来者の対応、盗難の予防などの特殊業務に従事することです。

 このうち、夜間にわたり宿泊を要するものを「宿直」といい、主として昼間にあるものを「日直」といいます。

 労働基準監督署の許可を受けた宿日直勤務については、労働基準法の「労働時間、休憩及び休日」の規制は受けません。そのため、1日8時間、1週40時間という法定労働時間を超えて労働させることができ、割増賃金の支払いも必要ありません(ただし、深夜労働に対する割増賃金は支払う必要があります)。

 宿日直勤務については、労働の密度や態様が普通の労働と著しく異なり、普通の労働と一律に規制することが適当でないため、労働時間、休日の規制の枠外に置いているのです。

 したがって、会社としては、宿直勤務について、労働時間や休日の規制を外すために、労働基準監督署に許可の申請をすることが考えられます。

 ただし、労働基準監督署の許可を受けるには、以下の基準を満たさなければなりません。

① 勤務の態様

 常態としてほとんど労働する必要がないこと(定期巡視も2~3回程度以内)、通常の労働の継続でないこと

② 宿日直手当

 宿日直勤務に対して相当の手当が支払われていること(1回の宿日直手当の最低額は、宿日直勤務を行う同種の労働者に対して支払われる賃金の1日平均額の3分の1)

③ 宿日直の回数

 原則として、宿直については週1回、日直については月1回以内であること

④ その他

 宿直については、相当の睡眠設備が設置されていること

 このように、現状の勤務が、ほとんど労働する必要のない宿直勤務といえるのか、それとも、通常業務を行っている単なる夜勤に過ぎないのかによって、労働基準監督署の許可が受けられるかどうかも変わってきます。