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従業員の残業時間を自己申告をしてもらうことに、問題はあるでしょうか。

従業員の残業時間については、毎月自己申告をしてもらうことにより把握して、残業代を支払っていますが、問題はあるでしょうか。

 使用者による時間外労働時間の把握方法について、法には特に規定されていません。 

 もっとも、使用者は、原則として1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならず、法定労働時間を超えた労働に対しては割増賃金を支払うことが義務付けられていますので、その前提として、使用者は労働時間を適切に把握する必要があります。

 使用者が労働時間を適切に把握していなければ、会社で行われている長時間労働・過重労働を防ぐこともできません。

 そのため、使用者には労働時間の管理を適切に行う責務があるとされており、このことは厚生労働省の通達でも明記されています。

 この点、自己申告による労働時間の把握は、あいまいな労働時間管理となりがちです。

 したがって、原則としては、使用者自らの現認、またはタイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として、労働時間を確認、記録すべきとされています。

 そして、これらの方法によることなく、労働者からの自己申告により労働時間を確認、記録する場合には、

①労働者に対して、適正な自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと、

②自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか、必要に応じて実態調査を行うこと、

③労働者の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと

が必要だとされています。  

 このように、自己申告制は不可というわけではありませんが、会社としては、労働時間を適切に把握するための措置をきちんと講じることが不可欠であるといえます。