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賃貸人から、賃借物件(工場)の立退きを求められた。賃料免除(約6か月分)と立退料200万円の受領で解決した事例

 事案の概要

 相談者は、自動車整備業を営む個人事業主です。

 工場建物を月6万円で賃借して事業に使用していましたが、物件の貸主から、契約は更新しないので、期間満了をもって物件から立ち退くよう、求められました。貸主との話し合いもうまくいかないということで、当事務所に相談に来られ、貸主との交渉について当事務所がご依頼を受けることになりました。

 

 解決に至るまで

 建物の賃貸借契約については、賃借人を保護するため、契約期間満了の際に貸主が契約更新を拒絶するためには、「正当事由」など一定の要件が必要になります。そして、この「正当事由」には比較的厳しい要件が課されています。

 本件では、相談者としては、物件からの立ち退きが必要になれば、業務に大きな支障が生じるのに対し、貸主には相談者に立ち退いてもらわなければならない特別の事情があるとはいえず、「正当事由」は認められない可能性が高い事案でした。

 したがって、更新の拒絶は認められないと主張して、貸主の請求を一方的に退けることも考えられました。もっとも、相談者としては、貸主との間にトラブルを抱えながら物件を使い続けるよりも、相当額を受け取って移転先を探すことを要望していました。

 ここで、物件の立ち退き交渉に当たっては、「立退料」の支払いが一般的に行われており、契約更新を拒絶する「正当事由」の判断にも影響を与えるものとされています。

 そこで、当事務所では、相談者が移転のためにかかる費用(設備の移設作業や電気工事の費用、移転先に支払う敷金・礼金、移転先との賃料の差額など)や営業損害(移転作業のために営業できない期間に失う営業利益)などを考慮して相当額を算出した上で、貸主との間で立退料の交渉を行いました。

 貸主は、当初は「お金がない」と主張して立退料の支払いを拒絶していました。当事務所は、「立退料を支払わないのであれば物件の立ち退きには応じられない。賃貸借契約は存続しているので物件の補修等をしてほしい。」などと主張し、粘り強く貸主と交渉しました。

 その結果、最終的に、相談者が立ち退きに応じる代わりに、立ち退きまでの猶予期間を約6ヶ月設けてその間の賃料を全額免除させた上で、立退料として200万円(賃料の約3年分に当たります)を支払わせる形で貸主と合意することができました。

 また、物件の明渡しの際にも弁護士が立ち会い、原状回復の範囲等についてその場で貸主と協議し、相談者が預けていた敷金についても全額回収することができました。

 

 解決のポイント

 ‣  相手方の請求に対して、法的な見通しや相談者の事業の状況を踏まえて的確な対応を行い、相談者の事業に支障が生じない形での解決をすることができた。

 

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