訴訟や労働審判を申し立てられた経営者の方へ
「突然、裁判所から書類が届いた。訴状や労働審判申立書との記載がある。どのように対応すればよいのかわからない。」
訴訟や労働審判を申し立てられた経営者の方は、突然裁判所からの手紙が届き、大変驚かれたことと思います。会社や代表者の名前が「被告」などと記載され、心外に思われた方もいるでしょう。書面を読んでも、専門的な用語や慣れない言い回しが多く、今後の手続の流れもよくわからない、など不安になられることも多いと思います。
初めにやるべきこと
訴訟や労働審判は、内容証明郵便などとは異なり、裁判所の手続である以上、無視すると相手の主張が認められてしまいますので、しかるべき対応をとる必要があります。
初動対応として共通するのは、まずは申し立ての内容を把握し、裁判所が指定する第1回期日までに必要な書類を提出することです。
訴訟や労働審判は、書面の書き方ひとつをとっても、専門的な知識が必要となるため、速やかに弁護士に相談することをお勧めします。特に、労働審判を申し立てられた方は、可能な限り早く相談し、対応を検討したほうがよいでしょう。なぜなら、労働審判はその制度上、期日の回数制限があるなど、迅速な解決を図ることが目的となっているためです(後述します)。
訴訟とは
訴訟とは、原告の主張する請求や法律関係が認められるかが争われ、裁判所が当事者間に争いのある事実について証拠をもとに認定し、判断する手続きです。
訴訟を提起された場合の初動対応としては、まず、第1回期日までに裁判所に「答弁書」を提出しなければなりません。
「答弁書」を提出せず、第1回期日に欠席すると、相手の主張が全面的に認められてしまい、敗訴してしまいます。
第1回期日は、被告の都合やスケジュールを何ら考慮せずに決定されるので、さしあたり「答弁書」さえ提出しておけば、第1回期日は欠席することが認められています。そのため、裁判所から指定された第1回期日(平日の午前または午後に指定されます。)に予定が入っていたとしても、慌てる必要はありません。
もっとも、答弁書の書き方を含めて、相手の主張に対し、どのような法的な反論を組み立て、説得的に論証し、それを裏付ける証拠を収集、選別するかは、専門的な法的知識が不可欠です。また、主張や証拠を出すタイミングなども戦略的に考える必要があるでしょう。相手の主張と、こちらの主張を踏まえた上で、裁判官の判断の見通しを立てることも重要です。
訴訟に至らない交渉段階であれば、当事者間のみの話し合いで和解にいたることも多いと思いますが、訴訟となると相手も弁護士に依頼して訴えてくるケースが多いことを考慮しても、訴状を受け取った場合には、内容を確認した上で速やかに弁護士に相談したほうがよいでしょう。
弁護士に依頼するタイミングも重要ですが、加えて、会社の重大な問題の対処を依頼するに相応しい信頼できる弁護士を選んでいただいた方がよいでしょう。
労働審判とは
労働審判は、労使紛争のみに認められた制度であり、訴訟と比べて迅速で柔軟な解決が図られる点が特徴です。
原則として3回以内の期日で審理されますが、その中でも特に第1回目の期日が非常に重要です。基本的に第1回期日で事実の審理は終了し、第2回、第3回の期日は当事者の合意による解決に向けた交渉が行われることになります。
つまり、事実の審理が行われる第1回期日までには、会社側の反論と証拠をすべて提出する必要があり、そのために十分な準備ができるかどうかが極めて重要となります。そして、説得力のある反論をし、証拠を準備するためには、相応の準備期間が必要となりますので、1日でも早く弁護士に相談し、資料の収集や書面の作成に取り掛かる必要があります。
また、第1回期日の審理が非常に重要となるため、依頼する弁護士が期日に出席できなければなりません。弁護士の日程を押さえるためにも、可能な限り早く信頼できる弁護士に相談する必要があるでしょう。
万が一、弁護士に相談するのが遅くなってしまい、期日が近づいてしまっている場合でも、諦める必要はありません。限られた時間の中で問題点を整理し、理路整然とした反論を組み立て、最低限の証拠を準備することで労働審判の結果が変わる可能性もあります。
終わりに
江原総合法律事務所では、様々の訴訟案件や労働審判を扱っており、事務所全体で多数の経験やノウハウを蓄積しています。
今回の記事をご覧になって当事務所に興味をお持ちになられた場合には、ぜひ1度ご相談ください。