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家賃滞納・賃料滞納対策

家賃滞納者へ早期対応の必要性

「入居者が家賃を滞納している」ということで悩んでいる大家さんのご相談をよくお受けします。
家賃滞納に関しては、できるだけ早めのご対応をお勧めしています。
早期対応を行わないと、家賃滞納の長期化が大家さんにとって大きな負担や損失につながるからです。
滞納者にとって、滞納している状況が「当たり前」と感じるようになると、滞納者はますます支払いを行わなくなり滞納額は増すばかりです。
経済的に支払いが困難な事案など、滞納原因によっては回収よりも退去を前提に話を進めざるを得ないケースもあります。

家賃滞納による損失要因① 滞納の長期化による回収率の低下

 長引けば長引くほど、滞納累積額も高額になります。入居者との連絡も取りにくくなり、賃料の回収率が低下します。滞納しても問題ないという感覚を賃借人や入居者に持たれることも避けるべきでしょう。

家賃滞納による損失要因② 新しい入居者を募集できないという機会損失

家賃を滞納している入居者に出て行ってもらうことができれば、新しい入居者を募集することができます。新しい入居者に通常どおり家賃を支払ってもらえば、少なくとも将来のキャッシュフローは改善します。

賃料滞納対策の流れ

大家さんにとって頭を悩ませる問題の一つが、賃借人の「賃料不払い問題」です。「何度も家賃を支払うよう言っているが、いっこうに支払ってくれない」というご相談をよくいただきます。
賃料不払い問題はどのように解決するのでしょうか。ここでは、賃料滞納対策の流れを見てきます。

賃料を支払わない賃借人に対しては以下のような対応をしていきます。

  1. 未払い賃料の請求
  2. 賃料不払いによる契約解除および立ち退き・明け渡し請求
  3. 保証人へ請求
  4. 少額訴訟など

1ヶ月程度の滞納の場合、賃貸借契約を解除し明け渡し請求をするのは、わが国の法令によれば難しいと言わざるを得ません。まずは内容証明郵便を送付し、賃料の支払いを求めましょう。それでも支払いがない場合で、滞納額がおおよそ3ヶ月程度に達した場合には、賃貸借契約の解除や明け渡し請求を行っていくことになります。
したがって、賃料の回収よりも確実な退去を優先したい場合、あえて数ヶ月間滞納が続くのを戦略的に待つという選択もあります。

未払い家賃の支払い請求

家賃不払い問題を解決する為には、正しい手順を踏む必要があります。賃借人がなかなか家賃を支払ってくれない場合には、まず内容証明郵便を送付し、家賃の支払いを求めましょう。

この際、賃貸借契約を解除するかどうかも検討が必要です。明け渡し請求をして退去させたとしても、その後すぐに次の入居者が見つかるとは限りません。また、明け渡し請求には経費もかかります。滞納期間が長くても任意の明け渡しが拒否された場合には、正式な裁判が必要になります。裁判には時間と費用がかかります。経費や明け渡し後の損失も考えると、契約は維持した上で分割による滞納分の回収を図る方が効率的な場合があります。

適切な方法を選択するためには、賃借人に支払能力があるかどうかを判断します。賃借人に支払能力がある場合、まずは未払い家賃の支払いを求める内容証明郵便を送ります。支払いを求める際には、1週間程度の猶予期間を設けるのが一般的です。

以下の場合は、回収は極めて困難と決断し、契約を解除した上で、明け渡しを請求することをお勧めします。

  • 滞納が3ヶ月以上続いている
  • 過去にも頻繁に支払いの遅れがあった
  • 失業などにより、支払能力がない
  • 内容証明郵便を送っても支払いに応じてくれない

 当事務所が過去に経験した事案を1つ紹介します。
契約解除や明け渡しの判断が遅れた結果、滞納家賃が2年分に達し、占有状況も不明で訴訟が長引き、結果的に損失が拡大してしまいました。家賃滞納でお困りの不動産オーナー様は、損失を最小限に抑えるためにも、早めに専門家である弁護士にご相談ください。

立退き・明け渡し請求

家賃滞納の対応策として、滞納中の入居者に立ち退きを求める明け渡し訴訟という手段があります。ただし、賃借人にも権利がありますので、立ち退いてもらうにはいくつかの条件があります。

当事務所は、土地(資材置き場の他、建物の収去を前提にした明け渡し事案等)、建物(戸建てや集合住宅、倉庫など)明け渡し事件の経験を多数有しています。
以下に、解決事例を1つ紹介します。

解決事例・家賃12万円10か月分の滞納状況でご相談を受けたケース

1 受任後、ただちに内容証明郵便を発送したが回答なし
 ⇩
2 占有状況を確認した後、受任から1ヶ月以内に明け渡し請求訴訟提起(10ヶ月分の滞納により賃貸借契約を解除した)
 ⇩
3 訴訟提起後、相手方が弁護士を付けて争ってきた
 ⇩
4 2ヶ月間の明け渡し猶予期間を認める代わりに、滞納家賃全額を半年以内に分割で支払う内容で和解成立
 ⇩
5 明け渡しは立ち会いの下、無事終了し、分割金も全額支払われた。

*本事例のポイントは、経済的には家賃を支払うことが出来る賃借人でしたが、修繕等に関してのクレームがきっかけで意図的に家賃の支払いを停止していた事案であったため、家賃の回収まで実現できたところにあります。
占有状況が明確ではない事案については、占有移転禁止の仮処分の申立ても必要なケースがあります。
※滞納事案の事情は様々です。全ての事案で同内容の解決結果を保証するものではありません。

保証人への請求

賃借人が家賃を支払ってくれない場合は、賃借人の保証人がいる場合、当該保証人が家賃支払い義務を負います。大家さんは、保証人に対して滞納家賃を請求することができます。
保証人は滞納家賃などを賃借人に代わって弁済する義務はありますが、立ち退き・明け渡しは賃借人にしかできません。つまり、保証人に対して明け渡し請求することはできません。
契約時には、必ず保証人を付けるようにしましょう。保証人になってくれる人がいない場合には、保証会社の保証を受けられることを条件にすることもできます。

賃貸借契約時のポイント

  1. 保証人は必ず連帯保証人にしましょう。
  2. 契約書には保証人本人に自署してもらいましょう。
  3. 保証人の支払い能力を確認するため、その方の収入証明書を取りましょう。住民票や印鑑証明書で、連帯保証人の住所地を正確に把握することも必要です。

少額訴訟など

支払能力があるにもかかわらず、家賃を滞納している悪質な賃借人に対しては「少額訴訟」や「支払督促」という法的手続を講じることができます。「少額訴訟」や「支払督促」を行うには、一定の要件が揃わなければなりません。
少額訴訟は60万円以下の請求しかできませんが、原則として1回の審理で即日判決がでます。支払督促は、申立てるだけで法廷に出廷する必要はありません。
少額訴訟も支払督促も、簡易裁判所に対し申立てます。訴状などの書面は必要になりますが通常訴訟とは異なり比較的簡易なものです。費用も抑えることができます。
ただし、少額訴訟も支払督促も滞納者の対応によっては通常の訴訟手続に移行する可能性があります。

少額訴訟での判決や支払督促命令が確定したにもかかわらず、滞納家賃を支払わない場合、賃借人の預金や給与の差し押さえをしたり、車などを保有している場合には競売にかけて現金化し回収することができます。これを強制執行といいます。勤務先が判明している場合には、給与の差押えが最も効果的です。給与を差し押さえると、裁判所から賃借人の職場に執行命令が送付されるので、それを警戒する賃借人から自主的に滞納家賃を支払ってくることもあります。

家賃滞納にお悩みの不動産オーナー、不動産会社様へ

 家賃滞納に関しては、できるだけ早めのご対応をおすすめしています。請求しても支払ってもらえない、退去してほしいけどどうしたらいいのか分からない。家賃滞納にお悩みの場合は、是非弁護士へご相談ください。