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発明の要件~自然法則の利用、技術的思想、創作性、高度性とは何か?

発明の要件である「自然法則の利用」「技術的思想」「創作性」「高度性」とは何か?


 

<事案>  
 青年実業家のAくんは特許について大学同期で現在弁護士のBさんに話を聞きました。Bさんから特許要件について説明されましたが意味が分かりませんでした。
 そんなAくんとBさんの会話の続きです。

Bさん:  まず発明要件①「自然法則の利用」とは何かしら?
    自然法則なんて耳慣れない言葉よね。
    これは「自然界において経済的に見出される物理的・科学的・経済的・生物的な法則性を
    持つ原理や原則
」と説明されるんだけど、全然イメージが湧かないよね。
    反対から考えて、自然法則に当たらない場合をイメージする方が簡単かもしれないわ。
    経済学上の原則や、スポーツやゲームのルールなど、人が決めた取り決めは、
    自然界にあるルールとは言えないからこれに当たりません。
    それ以外のものはだいたい自然法則にあたると思っていいわ。
    なんとなくイメージつかめた?
Aくん: つまり、人為的な取り決め以外のものは自然法則を利用したものといえるってこと?
Bさん: もちろん例外はあるけどだいたいそうね。
Bさん: 次に発明要件②「技術的思想」とは何か、これは簡単に言うとアイディアのことよ。
     発明というのはアイディアであって、そのアイディアが具現化した物ではないの。
     穴あき包丁の例でいえば、「切ったものが包丁にくっつかないように刃に穴を空けよう」
     というアイディアに特許が成立するのであり、そのアイディアを具現化して作られた
     穴あき包丁自体に特許が成立するわけではないわ。
Aくん: これは分かりやすいな。
Bさん: 発明要件③「創作」であるというのは、ここでは発明となるアイディアが、発明される
    以前には存在していなかったということ
を意味するわ。
    画期的なことを「発見」したとしても、それは発見される以前から事象としては存在して
    いたのだから、単なる発見は原則として発明になりません。 あの有名なニュートンの
    重力発見も、すばらしい「発見」ではあっても「発明」ではないの。
Aくん: 「発明」と「発見」のちがいか。今まであまり考えたことなかったな。
Bさん: 最後に発明要件④「高度性」なんだけど、これは後で説明する「進歩性」でまとめて
    判断されているから、あまり気にしないでおきましょう。
    ざっくりいえば、発明っていうのは人為的な取り決め以外の原則を利用した、
    今までには存在しなかった何らかの物や方法のアイディアってことね。
    どう?A君のアイディア、発明って言えそう?
Aくん: うん、たぶん大丈夫。発明って言えそうだな。
Bさん: じゃあ次回、「発明」以外の特許要件について説明していきましょうか。