契約書の原本は、必ず当事者数と同数作成しなければいけないのでしょうか。
契約書の原本は、必ず当事者数と同数作成しなければいけないのでしょうか。原本を1部のみ作成し、残りの当事者はコピーを保管したいのですが、契約の効力に何か影響はありますか。
契約書の原本は、必ず当事者数と同数作成しなければいけないわけではありません。
印紙代を節税するために、原本を1部のみ作成し、当事者の一人が原本を、他の当事者がコピーを保管することもあります。このような場合には、契約の後文に、その旨を記載すればよいでしょう(ただし、正本などと相違ないこと、又は写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるものについては、印紙の貼付が必要になる等、ただの写しではない場合には、印紙が必要となるケースもありますので注意が必要です。)。
このような場合であっても、契約の効力には影響はありません(ただし、例えば法令上、当事者に対して契約書等の一定の書類を交付することが要求されている場合には、単なる写しを交付しただけでは、この法令上の義務に違反するケースもありますので、別の観点からの注意は必要です)。
なお、契約書の原本を人数分作成しないことにデメリットがあるとすれば、契約書原本を当事者人数分作成しようとしないこと、そのものに対する不信感や、そのような契約の仕方をすることによる、取引上の信用に事実上の影響を受けることはあるかもしれません。
また、後日契約の成立や、その効力をめぐって争いになった場合に、原本よりも、写しの方が、証拠としての信用性に乏しいとされることもデメリットでしょうか。ただし、例えば契約書の筆跡が重要な争点になっており、その作成の真正をめぐって鑑定の必要性があるような場合を除いては、証拠が原本であっても、写しであっても、原本が1通のみ作成されたことを説明すれば、証拠としての価値に実際上の影響は無いことがほとんどであると思います。