公正証書による債権回収のノウハウを教えてください。
当社は埼玉県越谷市を本店としている企業ですが、支払う支払うと言いながら、度々支払いを遅延させる取引先がおり、債権回収に問題が生じています。
公正証書により、支払いを約束させる方法があるとお聞きしましたが、どの程度意味があるのでしょうか。
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する書面です。
公正証書を作成することで、債権回収においてどのようなメリットがあるのかについては、次のようなことが言えると思います。
1 そのような債権が存在することの証拠となる。
公証人が本人確認をして作成する書面ですので、証拠としての価値は私文書よりも高いと言えます。もっとも、債権回収の場面においては、むしろ副次的な効果と言えるでしょう。
2 強制執行が可能となる。
強制執行を認諾する旨の文言を入れることで、金銭債権については、支払いを怠ったときにただちに強制執行を行うことができます。通常は、相手の財産を強制的に処分して債権回収を図るためには、裁判を起こして判決を取得する必要がありますが、予め公正証書を作成しておくことで、裁判を起こさず強制執行が可能となります。その意味で、強制執行認諾文言を付した公正証書の存在は、いざというときに、直ちに強制執行の申立ができるので、債権回収の強力な武器になることは当然として、債務者に、任意の支払いを促す強い効果がある、と言えます。
3 公正証書を有効に利用するためには
強制執行が可能となると言っても、相手の財産を把握しておかなければ意味がありません。公正証書作成と併せて、債務者の取引先銀行や、主要取引先(代金をどこから受け取っているか)の確認、保証人の確保も行うことが重要です。もちろん、これらの情報を聞き出し、あるいは保証人を確保するためには、正面から尋ねるのも一つの方法ですが、聞き方や提案方法を工夫することが必要なケースも多いと言えます。このあたりは、債権回収のノウハウのある弁護士に相談することも重要でしょう。
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