仮差押えをすれば、確実に債権を回収できるのでしょうか。
当社は越谷市を本店としている企業ですが、支払いを先延ばしにしている草加市の業者に対して、仮差押えを検討しています。噂によると、税金の滞納もあり、取引先から前借を受けている可能性もあるようです。仮差押えをすれば、当社の債権は確実に保全されるのでしょうか。そのほかに注意点はありますか。
仮差押えをする場合、まず、相手の会社の資産のうち、どの資産を仮に差し押さえるのか、を検討しなければなりません。
一般的には、相手の会社が不動産を有している場合には、まずその不動産を対象にしなければなりません。もちろん、多額の抵当権が設定されているなど、その不動産を仮に差し押さえても財産の保全にはならない場合には別です。
次に、相手の会社が不動産を有していないような場合には、預貯金や取引先に対する債権を仮差押えすることが考えられます。
しかし、預貯金については、預入先から、相手方会社が借入をしているケースも多く、そのような場合には、預入先金融機関は、自らの貸付金と預金を相殺することを主張するため、仮差押えをしても、その後の強制執行による回収が困難なこともあります。
また、取引先に対する売掛金については、やはり取引先から、前借を受けているようなケースでは、前借分との相殺を主張されますので、その後の強制執行による回収が困難な場合があります。
金融機関と異なり、そもそも、仮に差し押さえた売掛金の支払い義務者に、支払い能力が無いケースもあります。
さらには、滞納処分による差押え等、税金による回収が先行してしまうと、仮差押えが無駄になってしまうケースもあります。
このように、仮差押えは、強力な手続きですが、相手方の状況によっては、必ずしも奏功するとは限らないというリスクがあります。