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従業員の入社にあたり秘密保持誓約書の提出を求めようと考えています。その際の注意点は何ですか。

従業員の入社にあたり秘密保持誓約書の提出を求めようと考えています。その際の注意点は何ですか。


 

 就業規則に秘密保持義務に関する規定が定められていたとしても、その内容は一般的抽象的な内容にとどまるのが通常です。
 そのため、最近は、秘密情報の範囲や義務の内容をより具体化した秘密保持誓約書の提出を求めることが増えています。

 秘密保持誓約書の提出を求める際の注意点としては、①秘密保持義務の内容を特定すること、②秘密保持義務の内容を従業員に対し十分に説明すること、などが挙げられます。

 まず、秘密保持誓約書における秘密の定義が抽象的であり、従業員から見て秘密保持の対象となる情報とそうでない情報が区別できないような場合には、秘密保持誓約書が公序良俗に違反して無効となる場合があります。
 もちろん、秘密保持誓約書を提出した時点で将来的に発生し得る秘密の内容を全て具体的に特定することは困難ですが、ある程度は具体的に秘密保持の対象を定める必要があります。

 また、従業員が秘密保持誓約書の内容を理解していなかった場合には、事後的に秘密保持誓約書の効力が争われる可能性があります。
 そのため、従業員に対し、秘密保持義務の内容と義務に違反した場合の効果を十分に説明した上で、秘密保持誓約書に署名押印してもらうように気を付ける必要があります。

  なお、具体的な秘密保持誓約書の内容については専門的な知識が要求されます(例えば、秘密保持義務違反に対するペナルティとして一定額の違約金を支払う旨を規定したとしても、労働基準法16条に違反して無効となる可能性がある、等)。

  したがって、秘密保持誓約書を作成する際には、一度専門家に相談することをお勧めします。