特許要件①「産業上の利用可能性」とは何か?
特許要件①「産業上の利用可能性」とは何か?
<事案>
青年実業家のAくんは特許について大学同期で現在弁護士のBさんに話を聞きました。
Bさんから特許要件について説明されましたが意味が分かりませんでしたが、発明については分かってきました。
そんなAくんとBさんの会話の続きです。
Bさん: 前回までの話で、A君のアイディアが発明といえそうってことは分かったわね。
では特許を取得するための他の要件も検討しましょう。
もう一度言うけど、特許を取得するための要件は
①発明であること
②産業上の利用可能性があること
③新規性があること
④進歩性があること
産業上の利用可能性について。
産業は工業に限らず、鉱業、農業、水産業、林業、牧畜業なども広く含むわ。
化学物質や生物関連発明の場合はこの要件が問題になることはあるけど、それ以外の、
物の発明なんかはまったくなんの役にも立たないってことが考えにくいでしょう?
だから、産業上の利用可能性のない発明というのはほとんど想定できないの。
ただし、医療関連発明は別よ。
Aくん: どうして、それこそすごく利用可能性がありそうなのにな。
Bさん: 特許庁の出願実務では、人間を手術・治療・診断する方法には産業上の利用可能性が
ないとされているの。
これは医療の現場で医師が治療行為を行うにあたって、自分の行為が特許侵害をしてない
かを気にして適切な治療ができなくなることを防止するためと考えられているわ。
Aくん: 確かに、患者としては常に最善の治療をしてほしいよな。運び込まれた病院でこの治療法
の特許は取ってないからできませんなんて言われたら困るよ。
Bさん: といっても医薬や医療機器についての物の発明や製造方法の発明なんかは特許が成立
するので、医療関連発明もすべてが産業上の利用可能性が無いわけじゃないわ。
A君の発明が医療関連発明なら、この辺りは調べてみる必要があるわよ。
Aくん: 僕の発明は医療関連発明じゃないし、物の発明だから問題なさそうだ。
Bさん: では次回、次の要件について説明するわ。