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就業規則に秘密保持義務に関する規定を定めるメリットは何ですか。

就業規則に秘密保持義務に関する規定を定めるメリットは何ですか。


 

 在職中の労働者は、明示的な特約がなくても、雇用契約上の付随義務として秘密保持義務を負うとされています。そのため、在職中の秘密保持義務の存否だけを問題とするのであれば、就業規則に秘密保持義務を定める必要はないように思われます。
 
 もっとも、就業規則に秘密保持義務の内容を明確にしておくことで、従業員の誤解を防ぎ、かつ注意を喚起するうえでも有益です。
 
 また、退職後の労働者については、明示的な特約がない場合でも信義則上の義務として秘密保持義務を負うと判断した裁判例もありますが、解釈上の争いとなり得るところです。したがって、退職後の秘密保持義務についても視野に入れているのであれば、無用な争いをさけるためにも、就業規則に秘密保持義務に関する規定を定めておいた方がよいでしょう。  
 
 そのほか、秘密保持義務違反を理由として従業員に懲戒処分を行うためには、あらかじめ就業規則で懲戒事由を定めておく必要があります。 秘密保持義務に関する規定を定めておけば、「就業規則その他社内規則に違反したとき」などの懲戒事由によって懲戒処分を行うことができるようになりますが、規定がなければ、会社の秘密情報を漏えいした従業員に対し懲戒処分を行えないという事態にもなりかねません。

 したがって、懲戒処分の場面における不都合を回避するためにも、就業規則で秘密保持義務について規定するメリットはあります。