特許要件②「新規性」とは何か?
特許要件②「新規性」とは何か?
<事案>
青年実業家のAくんは特許について大学同期で現在弁護士のBさんに話を聞きました。
Bさんから特許要件について説明されましたが意味が分かりませんでしたが、だんだん分かってきました。
そんなAくんとBさんの会話の続きです。
Bさん: 今回説明する新規性は特許要件の中でも重要なものよ。
新規性は発明が新しい知見であることを意味するんだけど、
これは法律で新規性がないとされる場合が定められていて、
これに当たらなければ新規性があると定められているの。
新規性喪失事由は、特許出願前に
①公然知られた発明
②公然実施された発明
③刊行物に記載された発明
以上の3つに該当すると、新規性が無くなっちゃうの。
Aくん: ③は分かるけど…①と②は漠然としててイメージわかないな。
Bさん: ①の公然知られたっていうのは
「発明者のために発明の内容を秘密にする義務を負わない人が
発明の内容を現実に知ったこと」
というのよ。
守秘義務を持たない人が一人でも知ったらその時点でアウトってこと。
逆に言えば守秘義務を持つ人ならば何人知ってても新規性が喪失したこと
にはならないわ。
研究室で同じ発明について研究してるチームなんかは、お互いに守秘義務があるから
チームメイトが何人知ってても新規性は失われないってこと。
②の公然実施は「発明者のために発明の内容を秘密にする義務を負わない人が
発明内容を知ることができる状態で実施行為(生産・使用・譲渡など)を行うこと」
を言うわ。
実施行為が何かは法律(特許法2条3項)に書いてあるからチェックしてね。
Aくん: なるほどね、僕が出願する日よりも前の日に誰か守秘義務のない人が発明内容を知った
り、知ることができる形で実施しなければいいわけだ。
Bさん: 正確には「出願する時」よりも前ね。新規性の判断は日単位じゃなくて出願時でされる
から、例えば16時に出願しても、その日の12時に新規性喪失事由があったならば、
その発明には新規性が無いって判断されちゃうのよ。
Aくん: それは怖いな。新規性喪失しちゃったらもう絶対特許は取れないのか?
うっかり新規性喪失なんてことよくありそうな話だけど…。
Bさん: もちろんそんなときの救済手段として新規性喪失の例外規定(特許法30条)があるわ。
うっかり新規性喪失しちゃった!って場合はこれをチェックしてみてね。