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契約社員の次年度の契約を更新しないことの問題点

当社には、1年契約を7回、7年間にわたり更新してきた契約社員がいます。この社員については、近年仕事が減少してきたため、次年度は契約を更新しないことにしたいと考えていますが、問題は生じないでしょうか。

 雇用期間の定めのある労働契約は、雇用期間の満了によって終了するのが原則です。

 しかし、このような原則を貫くと、労働者の地位が極めて不安定になることから、雇用期間が満了した時に会社が契約の更新をしないで契約を打ち切る、いわゆる雇止めには、一定の制限があります(「雇止め法理」)。

 では、どのような場合に雇止めが許されないのでしょうか。

 労働契約法19条は、①期間の定めのある労働契約が反復更新されていて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合や、労働者において期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合において、②労働者が期間満了後も会社で働きたいという意思を表示しており、③使用者による雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには、雇止めは許されないものと定めています。

 そして、①の要件について、これまでの裁判例では、雇用が臨時的か常用的か、更新の回数、雇用の通算期間、契約更新の手続・実態、同様の地位にある者の従来の雇止めの状況、雇用継続の期待を抱かせる使用者の言動、労働者の雇用継続期待の合理性などを総合考慮して、個々の事案に応じた判断がなされています。

 なお、平成25年4月1日以降に開始された労働契約から計算して、期間の定めのある労働契約が、5年を超えて反復更新された場合には、労働者に期間の定めのある労働契約を期間の定めのない労働契約に転換させる権利が付与されるものとされていますので、この点にも注意が必要です。