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遠方の会社に対して貸付金を回収する訴訟を提起する場合の裁判所

A社に対する貸付金を回収するため、訴訟提起を考えていますが、A社は遠方にあります。どこの裁判所に訴訟を提起できるのでしょうか。


 

訴訟提起にあたっては、まず、裁判管轄(=どこの裁判所に申し立てができるのか)、を確認しなければなりません。

民法及び裁判所法には管轄について様々な定めがありますが、債権回収のために訴訟を提起する場合、ポイントとなるのは、①事物管轄と②土地管轄です。

まず、①事物管轄は、訴額(相手に請求する金額)により定められている管轄であり、訴額が140万円を超えるものは地方裁判所が管轄し、140万円を超えないものについては、簡易裁判所が管轄を有します(裁判所法24条、33条)。

次に、②土地管轄とは、地域に着目して定められる管轄であり、原則として被告の住所地を管轄する裁判所(法人であれば、主たる事務所の所在地)が管轄裁判所となります(民事訴訟法4条)。

もっとも、土地管轄は、請求の態様によって特別な規定が設けられており、貸付金の回収などといった財産権上の訴えの場合、「義務履行地」(債務者が義務を履行すべき場所)が管轄を有するとされています。

弁済は、当事者で定めていない場合、債権者の住所地にて行うものとされています(民法484条)、ので、ご質問のお答えとしては、債務者と弁済の場所につき特に合意をしていないのであれば、あなたの会社の所在地を管轄する裁判所に訴訟を提起すべきということになります。

管轄の問題は複雑であり、請求する権利の内容によっても異なってきます。
ご不明な点は、弁護士にお気軽にご相談ください。