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基本契約書について、どのような条項に留意すればいいのでしょうか。

 最近,取引先から,基本契約書の取り交わしを要求される場面が非常に多くなってきました。何が有利で何が不利なのか,一般的には妥当なものなのかが,経験が無くわかりません。当社は,埼玉県内で顧客から発注を受けた商品を製造して納品している会社ですが,どのような条項に留意をすればよろしいのでしょうか。

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基本契約は、特定の企業間で反復継続して行われる商取引に関し、その取引に共通して適用される事項をあらかじめ定めておく契約書です。 

継続的な取引を行っている事業者間において,基本契約書を取り交わすことが一般的になってきています。

基本契約を定めておけば、その後の個別契約は、特約がない限り、基本契約の内容に従うことになるので、取引を画一的かつ迅速に処理することが可能になります。

その反面、基本契約に定められた事項は、個別契約に波及しますので、基本契約の内容を十分に吟味しなければ、その後の取引を、不利益な契約内容の下で継続していくことになりかねません。

基本契約書の内容は、受注者が提示するか、発注者が提示するかによってその内容は異なることが通常です。すなわち、受注者が提示した場合には受注者側に有利な、発注者側が提示した場合には、発注者側に有利な内容になっていることがほとんどです。

従って、取引相手方から提案された基本契約書は,各会社のスタンスにもよりますが,民法や商法の規定を,当該相手方に大幅に有利に修正した契約書を提案するケースもあります。その場合,相手方に言われるがままに契約してしまうと,実際に問題が生じた時に,不利な条件で交渉せざるを得なくなることが避けられなくなります。契約締結にあたっては,最低限注意すべきポイントを抑えておくことが大切です。

なお、本事例の製造業では、基本契約書は、買い手側(=発注者側)が作成することが多いといわれています。

さて、製造業の取引契約のチェックポイントについて、いくつか例を挙げると、

  • 基本的な点では,賠償責任の範囲・期間が,民法や商法の規定よりも加重されていないか
  • 納入、検収や受領に関する規定が実務に照らして合理的なものか
  • 解除が不当に広く(又は狭く)認められていないか
  • 証明する責任が,一方にとって不利に振り分けられていないか
  • 「等」や「一切」等,書面上範囲が必ずしも明確にできない規定によって,義務を負わされていないか
  • 「○○が指定する」等、個別契約時においても明確にされていない条件によって義務が課されていないか
  • 会社の営業上の秘密に属する事項まで開示を強制されていないか
  • 下請法等の基本的な法令に違反していないか
  • 複数の契約書を作成する場合、契約書相互の条項における優先関係 等々です。

具体的にどのような文言とすべきかは、契約書の他の内容との整合や取引の具体的な内容等を踏まえて検討する必要がありますので、ご不安な点がある場合は、弁護士に相談されるとよいでしょう。当社と長年取引のある大手発注先から、システムの変更に伴い、今後は、基本契約書を取り交わすことになったとのことで、基本契約書を取り交わしたいとの申し入れがありました。取り交わすことを求められている基本契約書も送られてきましたが、当社に不利と思われる条項もあるようです。どのように交渉を進めればよろしいでしょうか。

A 基本契約書とは、特定の企業間で反復継続して行われる商取引に関し、その取引に共通して適用される事項をあらかじめ定めておく契約書です。基本契約書の締結により、取引を画一的かつ迅速に処理することが可能となる半面、一旦取り交わすと、一定期間ごとの更新契約になっているケースが多いものの、その内容を変更することが実際には難しい状況になることが多いと言えます。

 また、相手方が一方的に作成した基本契約書は、民法や商法での定めよりも、相手方にとって有利な条項が基礎になっていることがほとんどです。

従って、基本契約書を締結する前に、内容をよく確認し、

 ①どうしても修正を依頼する必要がある事項

 ②できれば修正してほしい事項

 ③追加が必要な事項

など、重要度に応じて、その理由と、修正を依頼した時に、相手方が修正を拒否しにくい提案方法を検討して、修正の交渉を進める必要があります。

 この点、基本契約書は、相手方の定型書式であるから、修正の依頼をしても応じてもらえないのではないか、という質問を受けることが多いのですが、必ずしもそうではありません。

 問題は、相手方に修正を求める場合に、どうすれば相手方に受け入れてもらえるか、言い換えれば、相手方が受け入れざるを得ない提案をするか、という点です。

 まずは、提案された基本契約書が、そもそも、下請業法等の関係法令に違反する条項になっていないのか、と言った点の法令のチェックが必要になります。

また、例えば、民法や会社法等の一般的な法令、経済産業省や業界団体等が公表しているモデル契約書など、提案された契約書の条項と比較できるものがある場合、当該契約書において一般的な条項の内容との相違を設けることに合理性があるのか、という点も、相手方へ修正を依頼するうえで、有効な視点の一つと言えるでしょう。

さらに、「相手方が指定する○○」、「○○等」と言った抽象的な表現になっているために契約書上明確に特定されていない事項に関しては、具体的にどのような内容を相手方が想定しているのかを明らかにさせたうえで、一義的に特定可能な文言に修正させる(特定できないのであれば、その必要性には疑問があります。)という方法もあります。

 他にもその内容や業種に応じて、様々なアプローチが考えられますので、様々な契約書を日常的に作成・確認しており、実務の運用や関係法令にも詳しい弁護士に、まず相談してみることをお勧めいたします。

以上

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